今週のワンピース最新話を何度も読み返し、四皇カイドウの“目指すべき世界”が思いのほか深かったことにじわじわと感動しているムカシ文学少女、ゾリラバです、こんばんは。
最初は、自殺願望と破壊衝動の権化が最強の力を持ってしまったヤバい奴と思っていたのですが。
敵にも複雑な背景や性格付けがあるのがワンピースクオリティ。
カイドウも例外ではなかったですね。
昨日の記事ではカイドウの過去を時系列で追いましたが、今日はそれを踏まえてカイドウの価値観や目指した世界について、考えてみようと思います。
以下、昨日発売の週刊少年ジャンプに掲載された“ONE PIECE”の内容に触れますので、コミックス派、アニメ派の方はネタバレご注意ください。
ジョイボーイが誰かわかった
カイドウが2度目にルフィを下した第1014話で、“お前もジョイボーイにはなれなかったか…”とつぶやいた時には、まずカイドウがジョイボーイを知っていたことに驚きました。
生涯かけて歴史の謎を追っているロビンでさえ、魚人島でポーネグリフを読むまで知らなかった名前だから。
しかし今週、カイドウがキングに、ヤマトがジョイボーイについて口にした、と告げるシーンがあり、いろいろな謎が解けましたよ。
まず、
○ カイドウは、ヤマトがおでんの航海日誌を読んだ20年前には既にジョイボーイを知っていた
○ キング(ルナーリア族)はジョイボーイを待っていた
ということから、カイドウはキングからジョイボーイという名を聞いていたんですね。
一方、ルフィの能力覚醒を目の当たりにしても、ルフィ=ジョイボーイとは分かっていなかったようなので、世界政府が隠していた「ゴムゴムの実」が実は「ヒトヒトの実モデル“ニカ”」で、その覚醒した能力者がかつてジョイボーイと呼ばれていたことは知らなかったのでしょう。
しかし、ヤマトから
○ おでんが望む“開国”は、ジョイボーイを迎える為らしい
ということを聞いたカイドウは悟ったのかも。
おでんを処刑し、“開国”への道を閉ざした自分こそが、ジョイボーイの前に立ち塞がる者であると。
だからこそキングに、ジョイボーイが誰かわかった、と言ったのでしょう。
この先おれを倒した男だ!!!
と。
ジョイボーイに倒される願望
カイドウは、趣味“自殺”と紹介されるほどの死にたがりで、ロジャーや白ひげの見事な「死に様」にある種の羨望を抱いていました。
“死は人の完成”という死生観を持つカイドウにとって、伝説のジョイボーイと戦うというのは悲願だったのかもしれません。
たとえ敗れて死ぬことになっても、それはカイドウが望む見事な「死に様」となるから。
ヤマトに言った、どこでもいいわけではなくワノ国だから居座っているのだという謎の言葉の真意は、おでんがジョイボーイを迎えるために“開国”しようとしていたワノ国に居座っていれば、いずれジョイボーイと闘えると期待していたのかも。
だからこそ「お前もジョイボーイにはなれなかったか…」とつぶやいた時のカイドウは、少し残念そうだったのでしょう。
そして今週、「ジョイボーイに成った」ルフィにワノ国の地下深く沈められたカイドウが、ジョイボーイに関するキングとのやりとりを思い出しているのは象徴的かつ胸熱です。
カイドウが本当に望んでいたものは、四皇の地位でも権力でも「暴力に満ちた世界」でもなく、真の強者に倒される見事な「死に様」だったことが改めてはっきりしたわけですから。
ま、ビッグ・マムもカイドウも死んではいないと思いますけどね。
ルフィ達に敗れ、四皇の地位にはもうとどまれないでしょう。
ルフィが作る世界
思ってたほど単純な暴力崇拝者ではなかったカイドウが最期にルフィに問いかけたのは、「お前がいったいどんな世界を作れる!⁉︎」という哲学的な質問。
これに対するルフィの答えは単純明快です。
友達が……!!!
腹いっぱい!!!
メシを食える〰!!!
世界!!!!
ルフィは最初から全くブレていません。
ルフィのワノ国での闘いの目的は最初から二つでした。
ワノ国に来る前に一つ。
来てからもう一つ。
前者は、忍者海賊ミンク侍同盟によってモモの助と錦えもんに助太刀してカイドウを倒すこと。
そしてワノ国でお玉ちゃんに会って追加された目的が、ワノ国を「毎日腹いっぱいメシが食える国にしてやる」ことでした。
カイドウを倒したことによって、二つの目的はもう叶ったも同然、と言いたいところですが、唯一にして最大の心配は、世界政府の動きです。
ルッチはCP0への通信で、万一カイドウが敗れることがあれば、世界政府非加盟国であるワノ国を直接支配下に置くと言っていました。
これまでも語ってきたように、ワノ国編はカイドウを倒してめでたしめでたしとはならなそうです。
今後もワノ国から目が離せませんね!
次号は休載だけど(泣)